波路を築く

アニメの感想&批評

百合

百合

私が百合というジャンルに対してどうあって欲しいかを率直に述べる。 

私が百合に重視するものは「百合であることの必要性」である。登場キャラがほぼ女性の男性向け萌えアニメのほとんどは、男性という記号から遠ざかった環境にいる女性キャラを愛でたいという欲望に基づいているのではないか。そして女性のかわいらしさをさらに拡張しそれを描くために、恋する女性を描くための恋愛対象として女性を用いるという手法が編み出されたのではないかと考えている。しかし、先に述べた欲望をさして持っていない男性視聴者にとっては、恋する女性を描くにしても男女の恋愛ではいけないのだろうかという疑問が付きまとうことになる。今まで観てきた百合アニメ(あるいは百合というジャンルを前面に押し出したアニメ)の中には、残念ながら商業主義的な百合、すなわち百合そのものを嗜好する男性向けに特化した萌えアニメが多く存在する。そこに百合であるがゆえの物語の魅力は感じない。その一方で、中には百合というジャンルを物語の面白さに直結させることに成功している作品も存在する。どちらを評価すべきかは明確であり、また私は女性同士の恋愛がメインの作品に対して、男女間の恋愛と差別化出来る何かを求めてしまうのである。