はじめに
本記事は、以下の記事を参照しています。
記事のリンク先
TVアニメ『かみちゅ!』 舞台探訪(聖地巡礼)@尾道編 - 舞台探訪総研 聖地巡礼ブログ (hatenablog.com)
→https://btsoken.hatenablog.com/entry/20121020/1350678380
TVアニメ『かみちゅ!』 舞台探訪(聖地巡礼)@福山編 - 舞台探訪総研 聖地巡礼ブログ (hatenablog.com)
→https://btsoken.hatenablog.com/entry/20121104/1352026453
【聖地巡礼】かみちゅ!-Part1-尾道市その1 : 週末ひとり旅 (livedoor.jp)
→http://blog.livedoor.jp/nadukari/archives/1279695.html
アニメの画像はリンク先のものを引用しています。画像は実際の景色との比較にのみ用いており、商用利用、広告収入は一切ございません。画像の著作権は(C)アニプレックスおよびベサメムーチョにあります。著作者の申請を受け次第、画像の利用を直ちに停止します。
実際にロケ地巡りする場合は、一・二個目の記事に地図・マーク付きの記事があるのでそちらを参照してください。
行き先、日程
広島県尾道市と広島県福山市。尾道駅と福山駅周辺。京都から青春18きっぷを利用。一泊二日。なお、管理人は初広島、初聖地巡礼(たまたま行ってしまったものを除けば)である。
2021年12月11日(土)
出発→福山駅周辺→尾道駅周辺(少し)→一泊
2021年12月12日(土)
尾道駅周辺→帰宅
福山
第11話『恋は行方不明』にて、ゆりえ弟とまつり妹が駆け落ちした場所。本編では、ローカル線を使って尾道から福山まで行く場面から始まっている。一応、撮影したので動画を載せておく。
尾道駅→福山駅(山陽本線)
www.youtube.com
現在は、そば店に変わっているようです。
福山城は工事中でした………………って、あのブランコ行けねえ! あそこ名シーンなのに、残念。一応工事中の福山城の写真を載せておく。
尾道
かみちゅの舞台はほとんどが尾道である。街の至る所に野良猫がいる。そして、人に慣れている。第8話『野生時代』では、人間との共存をテーマに、猫同士の抗争を描いている。
通学路
尾道駅北側
尾道駅北東側、ホテル「LOG」周辺
尾道駅北東側、「みはらし亭」周辺
土堂小学校
書道部の活動場所
尾道駅東側
艮神社・御袖天満宮
絵馬を書きました。左が私のです。真ん中の絵馬の愛が凄かったので対抗して隣に飾りました。
浄土寺周辺
個人宅なので、名前隠しておきます。
海沿い
残念ながら、フェリーが日曜休業だったため、対岸の向島へは行きませんでした。
なお、ロープウェイは臨時休業でした。2021年12/1~12/24まで使えなかったそうです。
計画性なし
福山城は工事、ロープウェイは臨時休業、フェリーは日曜休業と、惜しい点はあった。もちろん、これらは調べれば分かることである。少なくともフェリーは前日に行けたはずだ。改めて、自分の計画性の無さを再確認することとなった。
感想
尾道駅の東側の浄土寺を北に行ったところ、ロケ地巡りの男性と出会う。映画『ふたり』を見て来たらしい。曰く、尾道はあらゆる場所がロケ地であり、色々な作品の舞台になっていると。朝方を過ぎた日中からは観光客が増え、神社の境内で『かみちゅ!』に関する話し声が聞こえることさえあった。
「写真通りの街」「どこを切り取っても絵になる」というのはまさにその通りである。例えば、本記事の通学路2-4の階段の上から見下ろす構図では、建物の間から瀬戸内海と山々が見える。複雑な山道×海に面した街の組み合わせは、尾道のストロングポイントに他ならない。
休業中のロープウェイの代わりに尾道市立美術館を訪ねた。建物の前には猫の彫像が連なっている。入口の前にある巨大な猫と2ショットを取る女子大生っぽい人も見られた。
美術館の展示品は尾道の景色をはじめ、人物画など様々な作品が並んでいる。地元の人々の多数の笑顔の写真を貼り合わせ、何かしら編集を施すことで尾道の風景を描く、芸術学科の大学生によるコンテスト作品もあった。ここでは、尾道の風景画(主に小林和作氏の作品)について言及していきたい。
日本の画家の古豪が描く尾道の景色は、(あくまで個人的な感想に過ぎないが)写実的なものから幻想的なもの、子供心をくすぐるもの、歴史的な風情を感じるものなど色々あり、画家の個性を十二分に浴びることが出来る。アニメーションはともかく、私は一般的にアートと呼ばれているものには疎いため、具体的な美術技法やおそらく絵画に表れているであろう画家の感性を汲み取ることは難しい。見当違いな部分も多々あるだろうが、容赦されたし。
小林和作の油彩画は、まるで幼い頃に見た景色を切り取る懐かしさと、歴史への郷愁を引き立てられる作品であった。筆を押し当てるような大胆なワンタッチを繰り返し(ペインティングナイフを使っているのかもしれない)、異なる色を何度も重ね合わせたような描きは、自分が小学生の時に先生に教えられた点描の方法と似通っている。これは、決して簡単に描けそうという意味ではない。一方でおぼろげで穏やかな印象が過去の記憶の不明瞭さを感じさせるようで、他方で独特な重量感がノスタルジーを触発する。これらを演出するのに、お誂え向きな表現だと思うのだ。
水、木々、山々、あるいは空までも、性質の似通った様々な色が組み合わさっている。輪郭は直接的に線で表現することが多いように見え、絵の構図自体は分かりやすい。純粋な遊び心を感じる点描の部分も相まって、全体的に感情に訴えかける作風となっている。細かな技術的要素を排し(それもまた突出した上手さなのだろうが)ているが、その実一目見たときの自然の豊かな再現性は、きっと凄まじい観察力に起因するのだろう。
歴史への郷愁、ノスタルジーと言ったが、『かみちゅ!』は「歴史」に敏感な作品である。日本の宗教観や伝統的ファンタジーを踏襲した初期設定に始め、古き良き小物をバックに描きながら、年代の地方都市の持つ地域共同性が強調されている。第7話、第9話あたりは顕著な例で、街を紡いできた人々が歴史を作り、そのありがたみを受け継ぎながら新たに街を紡ぐ人が現れる。同時代の横の繋がりだけでなく、時を超えた縦の繋がりを感じさせるという、まさに昔ながらの地方都市を描くのにうってつけの題材だ。
アニメ作品を見たときと似たような感覚が、美術館の作品を見たときに、そして尾道の景色を実際に見たときに湧き上がってくる。私が生まれるずっと前からある尾道の外観の美しさと精神的な豊かさが、2021年、今もなお現存しているということに、先人たちのみなぎる活力を感じずにはいられない。きっかけはアニメ作品だが、尾道の良さは十分伝わっている。
さて、聖地巡礼の旅は、多少惜しいところはあっても、順調に進むことができた。レンタサイクルが有名な街なのだが、商店街周辺、海沿いというよりは山道ばっか歩くので借りなかった。歩きでも駅から図書館のあたりまで全然行ける距離だった。尾道を上から眺めるためには、土堂小学校の横から階段を登り続けて美術館周辺まで行くが吉だろう。体力も使うので、特に夏場は注意しておきたい。
人生初の聖地巡礼の記録をここに記します。素晴らしい街、素晴らしいコンテンツを作り上げた人々に最大限の感謝を。